つばさ #8 (4/7)
テレビで指名手配になっていた詐欺師の
斉藤清六は、晴々とした「いい顔」していた。
詐欺師てぇのは、何故か、どこかしら
魅力のある人間が多い気がする。
(私のまわりを見てもそうなのです)
その魅力にみんな、だまされてしまうんだ。
人間的に、普通人より、人を引き付ける
不思議な魅力がある。
********(段落)*******
詐欺師の斉藤清六は、
「甘玉堂」の屋台骨がどうも傾きかけている、
という噂をどこかで仕入れて来て、
「甘玉堂」に目をつけたんだね。
この辺は詐欺師の勘といいますか、
鼻がきく所だと思う。
(ハイエナや死神と同類かな)
金に困っている人間はワラにもすがりたい気持が
強いから、つい平常心を失って、いつもの
判断力が鈍ってしまう。そこに、おいしい話で、
付け込むのですね。
******(再び、段落)******
「手作り甘玉」と「あずき2号作、甘玉」の
試食会の時、全員、遠くの甘玉から食べて
1番手前のは結局残ってしまった。何故だ?
「甘玉堂」の現在の苦境の原因は、遺影の
写真で分解写真(←懐かしい)みたいに
ひとり芝居をやってる小松政夫の生前の
放蕩三昧が原因なんでしょ。
責められるべき小松の親分さんが
やけに大切に扱われてるのは、何故だ?
妻の千代は相当泣かされたハズだよ。
「レモネード」かぁ。
子供の頃、アメリカ映画で見てあこがれたなぁ。
「(加乃子)久しぶりに無茶な事する竹ちゃんを
見た気がする」
2人のなれそめに、何があったのか知らない
けれど、竹雄は加乃子の「きっぷ」の良さに
ホレたんだね、たぶん。天使の矢が刺さったんだ。
竹雄はお酒1合しか飲めないなんて安上がりだ!
小料理屋の女将の井上和香はいいよなぁ。
(ふ~、ため息)
信用金庫は「差し押さえます!」なんて強気な
事を言ってるけどさ、「甘玉堂」の建物は
何だか由緒あり気な建築物で、さら地に
しようとすると反対運動が起こるんじゃないの?
まぁ、競売にして、叩き売るんだろうけど。
土地は表通りに面してるから、
かなりの価値がある。