つばさ #61 (6/8)
母親というものは、
息子が大怪我をして入院した場合、
ひたすら息子を安静にしておきたいものだと
思う。
お見舞いの客にも内心、早く帰って欲しいと
思うものではあるまいか。
それが女の子が見舞いに来て
いちゃいちゃした日にゃ、もう、
息子の安静を邪魔する、にっくき見舞い客
である他に、息子を母親の自分から
奪い取って行く相手でもある。
息子が、母親には見せた事のない笑顔を
その子には見せたりして。
母親としては、見舞いに来てくれた女の子に
怒る訳にはいかないから、
「安静にして怪我を早く治さないと!」
と、息子の方を叱る。
母親の心中は、穏やかではない。
そこへ、
もう1人の招かれざる客が飛び込んで来る。
これが何と、その女の子の母親で、
娘よりまして、病人の安静を妨害する。
翔太の大好物らしい甘玉を「あ~ん」と
口に運んでやったりして。
怪我の箇所は足で、手は自由がきくのに
子供あつかい、または恋人あつかいだ。
何だか馬鹿にされてる感じだ。
しかも、つばさの母親は翔太の母親と
気が合うと勘違いしている。
翔太の母親は厳格な人で、むしろ祖母の
千代タイプの人だ。(みだれる前の千代)
明日は翔太の母親は絶対に怒り出すな。
ただ不思議な事に加乃子が、
世間をかきまわすと、始めは迷惑するけど
結果的には、まるく収まるのですよね。