マッサン 目標を失い腑抜けになるの巻
「同情するなら、米をくれ!」
エリーはスコットランドなまりの
日本語で、そうつぶやいたに
違いない。
ご近所さんの差し入れの
お芋も卵も有難いけれど
米が一番必要なの!
米びつの米がすっかりなくなる
まで、どーしてマッサンに
言わないの?
スコットランドなまりで。
いざとなればマッサンには
かすみを食べさせればいい!
だって「侍」は食わねど高楊枝
なのだから。
腹をすかせたまま仕事さがしに
追い出せばいい!
エリーは日本の女の人みたいに
着物を質屋に入れられないのが
残念無念だ。
ウィスキー計画が頓挫して
気持ちにハリがなくなり
腑抜けになった癖に
自分は「侍」であるを連呼して
日本の「侍」の心得を偉そうに説いて
聞かせる腑抜けのマッサン。
エリーが分からないと思って
偉そうに。
「こんな人やとは思わなかった」
スコットランドなまりでため息をつく。
自分を「侍」に例えるなんて
あつかましいよ!
どうせご先祖は水呑百姓か
何かの出身でしょ?違うの?
「侍」を今だに引きずってるヤツ
にロクなのはいないよ。
ここでは書きませんが。
肉体のマッチョを見せびらかす
ヤツと発想は同じだよ。
「出て行け!」
男の十八番がついに出た。
でもエリーは行く所がない。
従いまして、自宅の
軒下三寸借り受けまして雨宿り