メリーポピンズ
中学生の夜、
家族で「メリーポピンズ」を観た帰り道
私はひとり3人に離れて歩きながら
前を行く自分の家族をしみじみと眺めながら
暗い空を見上げて、雲にメリーポピンズが
座っている気がして、とても幸福なひとときだった。
3人の後ろ姿と空の雲、いまだに忘れられない。
決してほめられた家族じゃないんだ。
オヤジは酒を飲んで帰って来ては
母親と私をなぐる人で
私たちが夕食を食べていると庭に突然あらわれて
日本刀を振り回したり
私の家庭訪問では酔って先生を縁側から庭に
投げ飛ばしたんだから。
試験前は必ず暴れる。
テストの邪魔でね。
もっとも3日おきくらいに暴れるのだから
テストの日程と重なるのも当然なのだけど。
母親はお嬢様育ちで、何も知らない人で
私の面倒をみるのが生き甲斐で
私は毎日着せ替え人形みたいに服を着せられた。
反感を持った友達が学校で顔をあわすたびに
「殴るぞ、コノヤロー」と脅すんだ。
私が下痢をした時、この母親は「生理なの?」と
真顔で聞くんだ。いじらしくて、抱きしめたかった。
姉はヤンキーで中学の男の番長を毎日追いかけて
殴りあいをしていた。
私がテレビを観ている頃、帰宅して
殴られて腫れた赤い顔で鼻息荒く、
「早くあしたになればいいのに!」と荒れるんだ。
また男の番長を追いかけて殴るつもりだ。
私はそんな恐い中学に行きたくない一心で
必死に勉強して私立に合格した。
そしたら隣りにどーしようもない高校があって
待ち伏せにあい、因縁をつけられ、公園で殴られた。
結局、どちらの中学でも一緒でね。
「メリーポピンズ」をみんなで観た「私の家族」
私にはかけがえのない「家族」でね。
「メリーポピンズ」はこれでもか、というくらい
何回も観てますが、いつもあの夜の風景を思い出すのです。
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昨日は夕方に客が来て、掃除も何も出来ないの。
今日もそいつらが来るんだよ。
常識を疑うよ、全く。大晦日だよ!
私は食道ガンの初期で脳腫瘍だけど
今日は意識不明になるまで酒を飲んでやる。
酔わずにやってられるか!毎年なんだよ。
明朝は6時に起こされて、お参り、早朝マラソン、朝風呂
なんだ。
煮るなと、焼くなと、どうとでもしろ!
テレビは紅白と決まってる。
笑っては、じゃない! くそっ