やすらぎの刻~道
亡くなった大納言の遺品整理で陶磁器の
骨董品に目利きのロクさんが紛失が2個
ある事に気がついた。
疑わしい人物が4人に絞られて
容疑のなすり合いが始まった。
と、ここまで書くと、大喧嘩になり
仲間割れになりそうだが
歳をとりますと、争いを好まなくなります。
静かに人生を終わりたいから。
これはしいて、そうする場合もありますが
よくしたもので
自然と俗世間との間に壁が出来る気がします。
もうどうでもいい。
争いごとには興味がなくなるのです。
骨董品はマヤとお嬢が単に見て気に入ったから
部屋に持ち帰っただけ、みんなも疑いもしない。
コンシェルジュには見破られましたが
2人の自白とみんなの協力により、無事もどりました。
あの遺品はどう始末するのだろう。
破棄するにはあまりに高価すぎる。
形見分けするにも値段を聞いてはもらいにくい。
どこかの博物館に寄贈するのがいい。
トランぺッターの上條恒彦がつぶやいた様に
音楽とは違い骨董品は歴史的価値があり
後世に残るけれど、音楽は誰かが歌わないと
すぐに忘れられてしまう。
スコアもどこかにまぎれてしまいそうだし。
上條は海の見える芝生で古関裕而の名曲を
ギターでつまびいていた。
古関裕而
前の東京オリンピックの行進曲を作曲した音楽界の
重鎮で、私はオリンピック中継のアナウンサーの
名セリフを未だに覚えています。
「心が浮き立つ様な古関裕而作曲による
東京オリンピック入場行進曲にのって
どのオリンピックでも先頭はオリンピック発祥の地である
ギリシャ選手団であります」てね。
大納言は収集癖があり骨董品を集めていたのか。
高尚で優雅な趣味だ。
入居者のみんなは俗世間から解放されて
新しい趣味を始めている。
石坂浩二の脚本だって俗世間の縛りがない自由な
趣味みたいなものだ。