やすらぎの刻~道
公次は家族がまだ寝ている朝早くに
ひとり戦地へ旅立った。
もし母親の岸本加世子が生きていたら
こんな寂しい旅立ちにはならなかったろう。
息子を見送りなしでひとり戦地に
旅立出せるなんて、そんな事。
子供にとって母親の存在がいかに重要か分かる。
公次は前夜家族と囲炉裏を囲んで食事をしながら
人知れず今生の別れをやったのだ。
家族のみんなに思いはあるが特にしのに対しては
特別な思いがあったみたいだった。
しのは剣道師範の小沼に気をとられており
公次の気持ちには気付かなかった。
ドラマは
戦争で根来家の男どもが死に絶えて
プライベートライアンみたいになってきた。
公次は南方へ出陣が決まっている。
ミッドウェー海戦がある。
三平は徴兵検査がもうじきだ。
長男の公一だって農業で食料を作っているが
兵隊の数が足りなくなると召集されるだろう。
鉄兵も同じく。
若い公平を残して、全員戦死も考えられる。
三平は特高に睨まれているから召集されると
最前線に即送られる。
思想犯だから上官にいじめ抜かれて戦死だ。
戦争さえなかったら三平の絵の様な暮らしも
夢じゃなかったのに。
中国とアメリカ相手に勝てる訳がない!