雑談
痴呆症の入り口の女の人を見舞った。
その子が昔
階段教室の上の方で私に
「こっち、こっち」と呼んでいる。
切れ長の目に髪はショートで
白のTシャツにパステルカラーで
何かデザインしてあって
背がやや高めでね
この子が私に
「あなたと話していると、疲れる」と言うんだ。
私の目は面白いネタをいつも考えている目で
だから話していると疲れる。
違う!それは大きな誤解だ。
君の前に立つと頭が錯乱して
沈黙が恐いからアホと知りつつ話しているだけ。
でも彼女には立派な先輩の彼氏がいた。
その人をね、こないだ見舞ったの。
そしたら私の顔をジッと見てね
「この人知っている、面白い人だ」と言うの。
だから私は心の中でね
「今は君の方がずっとずっと面白いよ」
ってね、つぶやいた訳さ。
ああ、昔に帰りたい。