高齢者 残酷物語
ウチの団地は高齢者が多い。
病気になり、リハビリに通う人や
食事を介護サービスに頼む人もいる。
団地の中心にスーパーがある。
3キロ先にはショッピングモールがある。
しかし高齢者は車の運転が出来ないので
「モールに買い物に行きたいが
買い物した荷物を抱えて歩いて帰るのは無理」
団地の中心にあるスーパーは何店舗もあるやつで
不景気で不渡りを出した。
社員は怒り、スーパーの回りを連合の街宣車が
大音響で巡回し、騒音が耐え難かった。
負債総額数百億円
社長は解任
女の副社長が後任になった。
この人の強権辣腕で、スーパーは持ち直した。
でも
思わぬ副産物を生み出して、それが、近所の
高齢者を「苦しめている」
社会的な問題になっている、売れ残り商品の
廃棄処分、これを、ウチのスーパーで始めたのだ。
売り場には他店舗の正月用品の売れ残りが
山と積まれている。もちろん、消費期限はとっくに
過ぎている。
今日は1月16日だよね。
正月用のつきあげ、かまぼこ、もやし、ヨーグルト
みんな七草の頃なんだ。
しかも値下げはしない、気の強さ。
高齢者は歩くのが大変なので、つい買っちゃう。
商品が売り場かたなくなるまで
新しいのは、出さない!
これは年末年始に限らずそうなのだ。
こないだは、期限切れの豆腐が棚からこぼれそうな
くらい詰まれていた。
他店の売れ残りを「食品廃棄の最後の砦」として
ウチの団地を使っているのだ。
高齢者はこのスーパーで買うしかない、
と高をくくっているのである。