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2023年1月 3日 (火)

映画「フォレストガンプ」は名作?問題作?

年末に観た映画「フォレストガンプ」
について、私がファンである町山智浩が
していた評論を聞いて、驚いた。
この映画に対して、かなり怒っている。
私は「よく出来た感動作だ」という感想
だったので、驚きもし、でも
町山の解説を聞いた今もその気持ちに
変化はない。町山は言う。

当時のアメリカ社会が抱える暗部が
映画の中で全く描かれていない。
人種差別、女性蔑視、ベトナムでの
残虐行為 女性へのDV etc.
町山「これらは意図的に排除しなければ
こんな映画に出来る訳がないです。
監督のゼメキスはすべて承知で映画を
撮ってるんです。これヒドいでしょ」

「渋谷で撮影して109を映さないレベル
じゃない、これは広島で撮影して
広島に原爆が落ちない様なもんですよ。
ひどすぎるでしょ」

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(段落)

料理研究家のコーケンテツさんが
デンマークの民家で、家族と同じ食卓を
囲んだ時、太陽の光が射すすてきなお部屋でね
でも、映像の画質が素晴らしすぎて
食事のシーンで空気中に小さなホコリが
まってるんですよ。いっぱい。

でも誰も気付かずに歓談しながら
食事を楽しんでる。

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(段落)

よく小説であるやつ。
電車で、窓の光が当たっている側の乗客だけ
車両にホコリが、まっているのが見えて顔を
しかめているのに対して、
影の座席に座っている乗客はそれに気付かないで
平気な顔をしている。
これはどちらが幸せなのか?

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森鴎外の「高瀬舟」
ラスト近くで、現世に絶望した主人公が
「こんな苦しいシャバなら、
いっそ牢屋に入った方がましだ」

作者は大学者の森鴎外である。
江戸時代の牢屋がいかに過酷な環境であったか
知らないハズはない。
なのに、主人公にこんなセリフを言わせている。

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ゼメキスは
「アメリカの問題を映画に撮るのは
この映画の主旨に合わない」
だから、カットした。
これは森鴎外と同じ考え方だ。
ただし、ロバート・ゼメキスが
思想的な背景のない、映画の事だけ考える
極めて映画人だった場合ですよ。
ゼメキスはかなり問題児だったらしいから
日本が誇る文豪森鴎外と比較して
うかつな事は言えませんが。
森鴎外は「高瀬舟」を名作にする方便として
あえて事実と反する表現方法をとったらしい。

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(話をもとにもどす、の巻)

町山智浩は不幸な事に知識が豊富すぎて
映画そのものを楽しむ事が出来なくなっている。
マジックを見て、ついタネを見抜こうとする。
あれだね。マジックはだまされるのも
楽しいよ。
私は「フォレストガンプ」素晴らしい感動作
でいいよ。似たようなのに
ブラピの「ベンジャミン・バトン」がある。
あれも変な映画だけど、私は好き。

要するに、映画を監督のねらい通り、素直に
乗せられて観るのか
それとも「サブカルチャー」的に
監督の人格やら時代背景にまで掘り下げて
観るのか、って事でしょ。

(結論)

私は、映画は「面白いか、つまらないか?」
だけで観るのが「正しい」と思う。

映画はドキュメンタリーではない。
監督の思惑からズレたシーンはカットされても
全く問題はない。事実と違っていても
全く問題ではないのだ。

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